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第2回 後編 草場妙子 / ヘアメイクアップアーティスト

揺るぎない信念と好きが高じて、夢を実現した草場さん。
地元の美容室で働いた後、上京し、独立するまでを伺った前編。
後編では、結婚・出産を経て感じたことや、草場さんの“現在地”について紐解きます。

自分が今までやってきたことで
役に立てることがあるなら
好きなことを火種に
どんどん発信していきたい

アシスタントから独立して5年後に、愛おしい娘さんが誕生。尊い命を授かった幸せに浸りながらも、仕事の面で大きな壁を感じたのが産前産後だった。

「フリーランスの人なら多かれ少なかれ感じることだと思いますが、仕事がなくなったらどうしようとか、恐怖心と焦りがずっとあって。出産した頃がピークでしたね。産後半年で保育園に預けて復帰したものの、自分で営業をしたこともなかったので、仕事は月に数えるくらいしかなくて。子どもはすごく可愛かったけれど、心穏やかではなかった気がします」

徐々に仕事がまわり始めたのは、出産から一年後。それでも、産前に比べると半分ほどだった。数年経ったある日、仕事で一緒になったモデルさんから、「好きなものの写真を上げるだけでいいんだよ」と教わったことがきっかけで、インスタグラムをスタート。

「最初はやり方も分からず時間がかかりましたが、自分の“好き”を自分から発信していくのが新鮮で。知り合いから『見てるよ』と言ってもらえたこともやる気につながりましたね。インスタグラムで発信したことが仕事に繋がり、自分自身のことや好きなものについて紹介する機会もいただくようになりました。好きな化粧品について話し始めると、本当に熱くなってしまうのですが、その気持ちを表現できる場がインスタグラムだったんです」

壁にぶつかり、立ち止まったことで、 “好き”を純粋に楽しむことができる世界が広がっていった。夢にひたむきに生きてきた彼女にとって、家族というもうひとつの大切な存在は、心の支えになり、新しい扉を開くきっかけとなった。

「仕事と家庭は両立させるというよりも、両方あることが私にとってはプラスなんです。家族がいると自分のことばかり考えるわけにはいかなくて。自然と自分に向くエネルギーが減ってきて、フリーランス特有の焦りや悩みが軽減したんですね。それがよかったと思います。家事は夫婦で、お互い気づいた時にできる範囲で分担しているので、大変だと思ったことはほとんどないかもしれません」

休日は、どんなふうに過ごしているのでしょう。

「家族三人で近所のコーヒーショップへよく行きます。私と夫はコーヒーを飲みながら、娘はケーキを食べながら本を読んだり。暖かい時期は、休日に限らず、3人で家の近所を散歩することも多いです」

かけがえのない家族との日常を大切にする一方、忙しい日々の中で気持ちを整えるためのひとり時間も大切にしている。

「休日でも、6時には起床します。朝いちばんで美術館へ行ったり、夜は30分の半身浴をしながらゆっくり本を読んだり。たまに子供の食事を終わらせて、夜ひとりで映画を観に行くことも。自分のメンタルをよい状態で保つためには、そういった時間もすごく大事ですね」

いつも気負わず、ごきげんでいられるように。清らかでしなやかな佇まいは、自分のリズムで、むりなく心身を整える習慣から生まれているのかもしれない。多くのひとのきれいを引き出す彼女に、心身の美しさを磨く秘訣を聞いてみた。

「自分の身体や心の声に寄り添うことでしょうか。私は疲れやすいタイプなので、体力を維持するために運動をしているのですが、『これ以上やると自分の機嫌が悪くなるな』というサインを見逃さないようにしています。疲れたら早めに寝たり、湯たんぽで身体を温めたり。ちゃんとケアしてあげることが大切だと思います」

彼女の凛とした美しさには、子どものように無垢な透明感と宝石のような煌めきを感じる。好きなものは、化粧品以外にも。

「甘いものが大好きなんです。 “一日一甘”と決めているのに、つい2〜3個食べてしまうほど。『GARDEN HOUSE CRAFTS Daikanyama』にはよく行きます。ここのショートケーキはボリュームがあって、見た目もテンションが上がる美味しさです。あとはスカーフも好きで、ロンドンの蚤の市で買ったものなど、たくさん集めています」

好きなことに正直に歩んできた彼女が、これからやってみたいことは?

「糸井重里さんが主催している『ほぼ日の學校』で、私も講師として『では、眉毛だけメイクしてみましょう。』という授業を担当させていただいています。そういう、自分がやってきたことで、誰かの役に立てることがあるなら、これからもやっていきたいですね。ヘアメイクだけでなく、何か私に伝えられることがあるのなら、どんどん発信していきたいという気持ちでいます」


草場妙子

熊本県生まれ
東京都在住
ヘアメイクアップアーティスト

サロンワーク、アシスタントを経て2006年に独立。雑誌や広告、CMなどを中心に幅広く活躍中。著作に『TODAY’S MAKE-UP – 今日のメイクは?』(アノニマ・スタジオ刊)がある。コスメブランドのOSAJIとコラボしたkokyuシリーズや、「ほぼ日の學校」で講師を担当する授業「では、眉毛だけメイクしてみましょう。」も好評。

Photo : Ai Tomatsu
Edit&Text : Narumi Kuroki (RCKT/Rocket Company*)

Location:GARDEN HOUSE CRAFTS daikanyama
https://ghghgh.jp/blogs/shoplist/garden-house-crafts-daikanyama
@garden_house_official

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