つくりのいいもの、には物語があります。
世代を超えて紡がれてきた、ラプアン カンクリの伝統技術。
自分たちの故郷であるラプアを拠点に、長年、同じ場所でものづくりを続ける理由。その利点は、たくさんあります。すぐに現場の状況を把握できる、商品開発がしやすい、機械が故障して困っても、近所に住む引退した先輩たちに教えてもらうことだって可能です。
1970年代、ラプアン カンクリの工場の様子。
ラプアン カンクリの日用品(テキスタイル)は、曾祖父の代から、生産するものの形は変わっても、「自然に寄り添い、時の試練に耐えうる、質のよいものをつくる」という根底に流れる価値観は変わっていません。ラプアで世界最高の日用品(テキスタイル)を開発するために、繊維、素材、プロセスを問わず、常に新しい技術革新を求めて、開発を続けています。
織物技術を通して、フィンランドの生産をサポートするべく、建築プロジェクトや機器のメンテナンスでは、できる限り、地元の事業者と協力しています。ラプアで培われた伝統技術を次世代へ受け継ぐため、仕事を軸にした学習や見習いプログラムを活用し、織り手や産業スタッフのトレーニングにも力を入れています。アールト大学と協力し、学生たちが工場を訪れ、織物技術を学ぶことも。
細やかな縫製技術は、当時から業界でも評判だった。
エスコ自身は、リネンの織り技術で、いかに美しく生地の端(耳)を織ることができるかを研究。「よいものを作りたい。小さなしあわせが循環する織物の伝統技術を、ラプアから次世代に継承したい」。その一心で、日々、試行錯誤を繰り返しながら、常に新しい視点でものづくりを探究しています。
音を聞いただけで、機械の調子が分かるというエスコ。多くの人にとっては騒音でしかない音も、彼にとっては音楽のようだとか。
国内生産が減少する時代の中、地元をフィールドに生産を続けるラプアン カンクリは、フィンランド人の誇り。古きも今も大切に、受け継がれた織物の伝統技術を駆使して、製品の耐久性と品質を確保し、息の長いテキスタイルを織り続けています。