第2回 前編 草場妙子 / ヘアメイクアップアーティスト
雑誌や広告、CMなど、幅広く活躍するヘアメイクアップアーティストの草場妙子さん。愛用コスメやメイクアップのコツを丁寧な文章で伝えるインスタグラムも人気です。「思い立ったら行動する」という、シンプルで潔い生き方の先にあるものとは?
悩んでも、壁にぶつかっても、
出会った環境の中でベストを尽くす
アシスタントについた頃から、
その気持ちは、ずっと持ち続けています
「中学の頃までかなりのロングヘアだったのですが、高校に上がる春休みに、美容師の叔母に髪をカットしてもらったんです。ヘアカタログを見せて『この髪型にしたい』って頼んだのですが、想像以上にベリーショートになっちゃったんですね。
それで、改めて写真を見たら、カタログ通りに仕上がっていて(笑)。その再現性がものすごい衝撃で。長い髪をためらわずに短く切ってくれた叔母にも感謝の気持ちが湧き起こり、さらには喜びを感じたことが美容師になりたいと思ったきっかけです」。
その後、普通高校に入学し、秋からは通信制の美容学校にも通い始め、美容室でのアルバイトもスタート。物心ついた頃から、「思い立ったら、すぐ行動する」のが好きだった。遊ぶ時間は、ほとんどなかったけれど、まったく苦にならなかったのだそう。
「その美容室は優しくておもしろいご夫婦がやっていらっしゃって、本当にお世話になりました。自宅から自転車で一時間くらいかかるのですが、雨の日もカッパをかぶって通っていましたね。平日は学校終わりに行ける時は行って、土日は必ず行く感じで。つらさは全くなくて、休みなく働いている感じが嬉しくてしょうがなかったです」
高校卒業後もその美容室でインターンとして働き、就職。美容師としても、社会人としての基礎も、たくさん学ばせてもらった。
「あそこでの時間がなければ今の私は始まっていないですし、とにかく家族みたいに優しく大事にしてくれたことがすごく嬉しかったです。5年ほどお世話になった頃、ヘアメイクを目指したいという夢が膨らみ始めました」
その後、東京にいる友人の紹介でヘアメイクの樅山敦氏に師事。アシスタントとしての東京生活がスタートしたのは21歳の時だった。
「師匠は本当に愛情深い方で、ゼロからたくさんのことを教えてもらいました。ハンドケアやネイルなども任せてくださったので、モデルに触れられる経験を積むことができたのは、私にとって大きな自信につながりましたね。いつもスタッフの輪の中に入れてくださったことも、とてもありがたかったです。すごく恵まれていたと思います」
2006年に独立。その後も、撮影がない日は師匠の手伝いに行くと「彼女は独立したので何かあったら声をかけてくださいね」と現場スタッフに宣伝してくれたのだという。
「そのおかげで徐々に仕事が増えていきました。こんな師匠、なかなかいないと思います。独立してだいぶ経つのですが、いまだにメールをいただくと背筋がピッと伸びます。この師弟関係は一生モノですね」
草場さんといえば、お気に入りのコスメを愛情たっぷりに紹介するインスタグラムも人気だ。
「特にドラマティックな理由はなく、ただただ化粧品が好きなんです。メイク道具を片付けるときも『可愛いなあ』と思いながら拭いているので、すごく時間がかかっちゃう(笑)。ブランドごとに分けて置いているのですが、ネイルだけでも200本近くあったりして、あまりに多すぎるなと思いつつ、手に取って見始めると、やっぱりめちゃくちゃ可愛くて。ネイルの口を除光液を浸したティッシュで拭いてケアするとか、時間はかかるのですが、でも、私の場合これが仕事だから、時間をかけてもいいんだなと。それって、すごく恵まれているし、幸せなことですよね。好きなことを仕事にできて本当によかった、と日々実感しています」
草場妙子
ウェブサイト:
https://kusabataeko.com/
インスタグラム:
@kusabataeko
東京都在住
ヘアメイクアップアーティスト
サロンワーク、アシスタントを経て2006年に独立。雑誌や広告、CMなどを中心に幅広く活躍中。著作に『TODAY’S MAKE-UP – 今日のメイクは?』(アノニマ・スタジオ刊)がある。コスメブランドのOSAJIとコラボしたkokyuシリーズや、「ほぼ日の學校」で講師を担当する授業「では、眉毛だけメイクしてみましょう。」も好評。
Photo : Ai Tomatsu
Edit&Text : Narumi Kuroki (RCKT/Rocket Company*)
Location:GARDEN HOUSE CRAFTS daikanyama
https://ghghgh.jp/blogs/shoplist/garden-house-crafts-daikanyama
@garden_house_official