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フィンランドが誇る建築家アルヴァ・アアルト自邸へ

フィンランドを代表する建築家が自分のために設計した理想の家とは、どのようなものなのでしょうか。

アルヴァ・アアルトと妻のアイノが自宅兼アトリエとして設計し1936年に完成した「アアルトハウス(アアルト自邸)」が、現在もヘルシンキにあります。

わたし自身も自宅でアアルトデザイン家具を愛用しており、その機能性を兼ね備えたシンプルな美しさに魅了されているので、訪問を楽しみにしていました。

アアルト夫妻のデザイン哲学が詰まったこのアアルトハウスは建造物保護法で守られており、事前にガイド付きツアーを予約すると建物の内側を見学することができます(日本語でのプライベートツアーも可能)。

正面には窓が少なく無機質な印象を受けますが、中に入ると南向きの大きな窓を中心にリビングとダイニングがあり、あたたかい陽の光がお部屋全体を優しく包み込んでいます。

ダイニングの端にある引き戸からはアトリエに繋がっており、アアルトが実際に仕事をしていたという白い机が今もそのまま残されていました。

ここで外の景色を眺めながら、数々の建築やインテリアの名作たちを生み出してきたのでしょう。

木の階段をのぼった二階はプライベートな家族の空間で、暖炉があるこぢんまりとした居心地のいいリビングを囲むように、夫婦の寝室、子ども部屋、バスルームなどが配置されています。

テラスを抜けてアトリエに通じるドアもあり、実際に訪れてみることで彼の建築がいかに機能性に優れているかを肌で感じることができます。

日本を訪れたことはないというアアルトですが、当時の在フィンランド日本大使と親交があり、彼の作品やアアルトハウスは日本文化の影響を受けているそうです。

なるほど、カーテンの代わりにすだれが使われていたり、日本語で書かれた能面に関する本や日本製の筆が飾られていたりと、家の中の端々で日本との繋がりを感じることができました。

家全体からもまるで日本の親戚の家に遊びに来たかのような居心地のよさを感じ、日本人としてとてもうれしい気持ちになりました。

新婚旅行先のイタリアでふたりが購入したダイニングチェアや、アアルトが初任給で購入してとても気に入っていたとされている一人掛けソファなどが美しい物語を添え、この建築をより特別なものにしています。

アアルトハウスで夢のような時間を過ごして帰宅すると、家でわたしを待っていたアアルトデザイン家具たちがより愛おしく感じました。


アルヴァ・アアルト自邸の情報

住所:Riihitie 20, 00330 Helsinki, Finland
ホームページ:https://www.alvaraalto.fi/kohde/alvar-aallon-kotitalo/

きつね

東京出身、フィンランド在住。
ヘルシンキにあるカフェのマーケティング担当者およびフリーランスのライターとして活動するかたわら、ブログでフィンランド生活やおすすめカフェなどについて発信している。
お日さまとコーヒーと深夜ラジオがすき。

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