夏のフィンランドの森で、ベリー摘み

7月中旬から8月頃のフィンランドは、ブルーベリー摘みの季節。

フィンランドには「自然享受権」という、個人に与えられた特別な権利があることをご存知でしょうか。

これは、土地の所有者に損害を与えることなく、植物や動物に敬意を払って行動する限り、すべての人にあらゆる土地への立ち入りや自然環境の享受を認めるという、北欧に古くからある権利です。

そんなこともあり、夏には森で野生のベリー摘み、秋にはきのこ刈りをして自然の恵みをいただくのが、フィンランドの風物詩でもあります。

今年もフィンランド南部でブルーベリーが熟したという情報が入ったので、早速森へ摘みに行ってきました。

ブルーベリー摘みはきのこ狩りよりもハードルが低く、初心者でも簡単に、森のあちこちで見つけることができます（ただしマダニや迷子に注意）。

直射日光が当たらない木の足元に生えた低木に、直径は1cmにも満たない、小ぶりな実をつけます。

この時期になるとスーパーマーケットなどで売られるベリーピッカーを使ってもいいのですが、葉っぱやまだ未熟な実までも取れてしまうため、ひとつひとつ手で取るのがおすすめです。

熟れた実から出る果汁で指が紫色になったり、長時間かがむので腰が痛くなったりもしますが、お友達や家族とおしゃべりしながら、空気が澄んだ森の中でのベリー摘みは、癒し効果があります。

何より天然のベリーを自分の手で摘んでいただくというのは、フィンランドの自然を身近に感じることができる、とても贅沢なひとときです。

わたしは、摘んだばかりの新鮮なブルーベリーで毎年作るものがあります。

それは、ブルーベリーパイ（フィンランド語で「ムスティッカピーラッカ」）。

ケルマヴィーリというフィンランドの発酵乳である乳製品や砂糖をブルーベリーと混ぜて、パイ生地に流し入れて作るもので、材料も作り方もとってもシンプルなのですが、これが素朴なおいしさなのです。

フィンランドの人たちにも大人気で、ホームメイドブルーベリーパイを提供しているカフェも街中でよく見かけます。

ブルーベリーをバケツ何杯分も摘む人も多いのですが、家族やお友達にお裾分けをして、それでも残った分は冷凍しておけば、一年中楽しむことができます。

わたしも毎年冷凍しているのですが、その冷凍ブルーベリーを使ったとてもおいしい食べ方があるのでご紹介します。

それは、ブルーベリーオーバーナイトオーツ。

冷凍ブルーベリー・オートミール・オートミルク・メープルシロップなどを混ぜ、その名の通り冷蔵庫で一晩寝かせるだけで、翌朝には完成。

オートミールがミルクやブルーベリーの味を吸い込んで柔らかくなり、腹持ちもよく、手軽にヘルシーでおいしい朝ごはんや小腹が空いたときのおやつになります。

わたしは、そこにスライスしたバナナを乗せる食べ方がお気に入りです。 毎年こうしてフィンランドの自然を五感で楽しむたびに、わたしたちは自然から恵みをいただいて生きているのだと再確認し、改めてそのありがたみを感じます。