サウナの中では、みんな平等
フィンランドといえば、サウナ。そして、サウナといえば、フィンランド。
フィンランドの人々のライフスタイルを語る上で、サウナを欠かすことは考えられません。
どれだけ生活になくてはならない存在であるかは、540万人ほどの人口に対して約300万ものサウナがあることからも伝わってきます。
リラックスしながら身体をきれいにする場所という意味では、日本人にとってのお風呂や温泉に近い存在と考えるとイメージしやすいかもしれません。
神聖な場所でもあるサウナには、サウナ・トントゥという妖精が住んでいると伝えられていて、彼らが嫌がる悪口や喧嘩はしないようにします。
そして、サウナの中ではみんなが平等。
日本のサウナとは違ってテレビも時計もない、静かで薄暗いサウナの中で、肩書きや年齢、性別関係なく、人々がフラットに接する社交場でもあるのです。
普段はシャイなフィンランドの人たちも、サウナの中では魔法にかけられたようにフレンドリーになる、というのはよく耳にする話です。
そんなわけで、フィンランドのことを知りたいと思ったら、フィンランド人と一緒にサウナに入るのがいちばん。
今回は、ローカルなサウナ体験にぴったりな公共サウナのひとつ「Löyly(ロウリュ)」をご紹介します。
Löylyは、2016年にヘルシンキの海辺にオープンした、モダンで地元の人にも大人気のサウナ施設。
レストランやバーも併設していて、サウナのあとに海を眺めながら食事やお酒も楽しむことができます。
店名にもなっている「ロウリュ」とは、フィンランド語で「サウナストーブからあがる蒸気」を意味する、サウナ用語。
古典的な公共サウナは男女別で裸で入るのが一般的ですが、ここでは水着を着て男女混合で楽しむことができます。
二種類のサウナ(電気サウナ・薪サウナ)で身体が温まったら、バルト海にドボンと浸かり、火照った身体をクールダウン。
夏の清々しさはもちろんのこと、真冬の一面真っ白に凍った海に穴を開けて浸かる「アヴァント」は格別です。
氷水に浸かる瞬間までは、今まで経験したことのない寒さと冷たさに心臓が止まるのではと不安になりますが、肩まで浸かった瞬間、なんとも言えない快感と高揚感に包み込まれ、不思議と全身がポカポカしてくるのです。
わたしは一年の中でも、特にこの真冬のフィンランドのサウナ経験をおすすめしたいです。
きっと、フィンランドの人々にとって、サウナは心身共にリラックスできる場所であり、人々の交流の場でもあり、魂の浄化の場所でもあることが肌で感じられるはずです。
きつね
ヘルシンキにあるカフェのマーケティング担当者およびフリーランスのライターとして活動するかたわら、ブログでフィンランド生活やおすすめカフェなどについて発信している。
お日さまとコーヒーと深夜ラジオがすき。