第2回 こだわりの北欧家具に囲まれた、あたたかみのある暮らし
セラミックアーティストである森 昭子さんは、スイス人の旦那さまと6歳の息子さん、そして愛猫のマイタケと一緒に、フィンランドを代表する建築家レイマ・ピエティラが60年代に手掛けた集合住宅に住んでいます。
お邪魔した日は氷点下10度を下回る寒さでしたが、玄関を開けると木製の家具や素敵な照明の灯りが醸し出す温もりで、芯まで冷え切っていたわたしをあたたかく包み込んでくれました。
リビングでは、ビンテージの本棚に並んだ思い出のアイテムたちや息子さんの絵本などが、お部屋に程よいポップな彩りを添えています。
日本、スイス、シンガポール、そしてフィンランドと拠点を移してきた昭子さん。
フィンランドで子育てができることに、この上ない幸せを感じていると語ります。
「わたしたち家族の親戚は近くにいませんが、ご近所さんがみんな親切で交流が多く、まるで本当の親戚のようなんです。治安もよく、大らかな気持ちで子育てができています。」
取材中も近所のお子さんから窓越しに誘われ、息子さんは元気よくソリ遊びに出かけて行きました。
旦那さまのお仕事の都合でフィンランドに移り住んだのが、6年前。
首都でありながら街と自然が共存し、その境界線が曖昧なところに魅力を感じ、移住を決めたそうです。
そんな自然溢れるフィンランドに住んで、昭子さんの価値観は大きく変わったと言います。
「豊かさの概念が変わりました。お金で買えない価値があることに気付かされたのです。」
その言葉のとおり、キッチンには天然素材のツールや新鮮なバジル、セカンドハンドで見つけたヴィンテージ食器などが。
リネン100%の素材感が楽しめる、ラプアン カンクリのキッチンタオルも空間によく馴染んでいます。
旦那さまが焼いてくださったおいしいパイは、夏に森で摘んだベリーが甘酸っぱく、自然の恵を感じました。
昭子さんは自分の時間が持てるようになり、フィンランド人アーティストの元でのインターンシップを経て、セラミックアートの制作活動を再開する準備中だそう。
「子育て中、フィンランドの自然や美術館からたくさんインスピレーションを受けました。早くそのアウトプットがしたくて、うずうずしています。」
ご自身の作品も生活の中に取り入れ、ペン立てとして使ったり、一家団欒のひとときにマグカップでコーヒーを飲んだりと愛用していました。
日本で育んだ感性がフィンランドで更に磨かれ、今後どのような作品たちが生まれるのか、そのご活躍に注目です。
Photo & Text:きつね