フィンランドの暗くて長い冬の過ごし方
フィンランドは四季が美しい国ですが、冬が長く、一年の半分ほどを占めます。 そして太陽が沈まない日々が続く夏とは反対に、冬は暗い時間が長くなります。
暖かい室内のお陰で寒さはなんとかなるものの、暗さはどうにもなりません。
たまに日光がお目見えする日は、インスタのストーリーズで人々がこぞって太陽光の写真を載せることからも、その貴重さが伺えます。
そんなフィンランドの暗くて長い冬の快適な過ごし方を三つご紹介します。
一つめは、光の力を借りて快適な空間づくりをすること。
間接照明やキャンドルを灯して、お部屋をあたたかい光で包み込むのです。
フィンランドの国民一人あたりのキャンドル消費量は世界一だそうですが、実際に優しいライトの光や揺れ動くキャンドルの炎を見つめると不思議と心が安らぎます。
カーテンを閉めないお宅も多く、街を歩きながら暗闇にぽわんと浮かぶ各ご家庭こだわりの照明を眺めるのは、冬の密かな楽しみでもあります。
二つめは、家族や友人と過ごす時間を持つこと。
日本と比べて圧倒的に娯楽が少なく、冬は寒くて外で長時間過ごすのが厳しいフィンランドでは、家の中で過ごすことが多いです。
手作りの食事をいただき、近況報告や他愛もない話をして、食後にコーヒーやスナックをつまみながらボードゲームを楽しんだりします。
みんなそれぞれお気に入りがありますが、わたしはフランス生まれの「ブロックス」。
ハマるお友達続出のおもしろさで、おすすめです。
三つめは、趣味を楽しみ、ひとり時間を充実させること。
家にいながらも想像力という翼でどこへでも旅できる読書は特に人気で、フィンランドは一人当たりの読書量が世界トップレベル。
「本を読むことはひとつの新しい体験をすることだ」という考えが根付いています。
編み物も人気が高く、小学校では編み物の授業があるほど。
雪が降り街が雪化粧しはじめると外の景色が一気に明るくなり、そのまま冬至を超えれば少しずつ日照時間も延び、待ち望んだ春がやって来ます。
フィンランドの国民性を表す「シス(SISU)」(困難に耐えうる力、諦めずにやり遂げる力、不屈の精神)が何かと話題ですが、歯を食いしばりながら耐え抜くというよりも、心身の健康を保つ工夫をし、心地よく暮らしながら春の訪れを待つ。
そんなフィンランドの人々の過ごし方は、新型コロナウイルスの影響によりお家で過ごす時間が多くなったすべての人の参考になるかもしれません。
きつね
ヘルシンキにあるカフェのマーケティング担当者およびフリーランスのライターとして活動するかたわら、ブログでフィンランド生活やおすすめカフェなどについて発信している。
お日さまとコーヒーと深夜ラジオがすき。