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フィンランドで楽しむ紅葉と芸術

少しずつ気温が下がり冷たい風が頬を撫でるようになったら、それはフィンランドに秋が訪れた知らせです。

フィンランドは夏と冬だけでなく、実は秋から冬にかけての美しさも格別で、街のあちこちで赤や黄色に紅葉したカラフルな景色に出会うことができます。

地面に落ちた葉っぱが絨毯を作り、そこをザクザクと音を立てて歩くのは何歳になっても楽しいものです。

この時期は日差しが弱まり日照時間も短くなるため、気持ちが暗くなってしまう人も少なくありませんが、そんなときに心にぽっとあたたかな光を灯してくれるのは、アートに触れることだと思っています。

そこでわたしの大好きなフィンランドのセラミック作家・イラストレーター、アルミ・テヴァさんのアトリエに特別にお邪魔させていただきました。

アトリエに一歩足を踏み入れると、壁や棚に彼女自身の作品が所狭しと並んでいて、思わず「夢みたいな空間!」とつぶやいてしまいましたが、優しい笑顔で迎え入れてくださいました。

大きな半楕円型の窓からは行き交うトラムが見え、その横にあるデスクにはラフスケッチや、作品名のアイディアらしきメモ書きが。

彼女の作品で特に有名なのはお花やフルーツで彩られた不思議な顔の「ナアマット」というシリーズのセラミック作品で、オンラインショップで発売されると一瞬で売り切れてしまうほどの人気。

部屋の隅には作品を焼く大きな電気窯もあり、この空間で彼女の作品がアイディアから形になっていくのだと思うと鳥肌が立ちました。

壁にはお母さまが昔描かれたという絵が飾られていたり、親友でありアーティスト仲間である方の作品を花瓶に使っていたりと、あたたかい愛情が部屋中に溢れていました。

彼女の作品の持ち味は、少し斜に構えたような皮肉っぽいユーモアや不可思議さを含んだ色々な表情ですが、彼女自身の性格が反映されていると思う?と聞いてみたところ、照れながら「そうだと思うわ」とおっしゃっていました。

お話をする中で、彼女の中にみなぎるアーティスト魂と才能、でもそれを傲らない謙虚で柔らかいお人柄に触れ、更にファンになってしまいました。

現在新しい作品作りにも取り組んでいるとのことで、今後の益々の活躍がとても楽しみです。

フィンランドの秋はせっかちなので、まだ行かないでと願いながら、アルミさんのアトリエで夢のような時間を過ごした帰り道、黄色く染まった並木道を歩き、ヘルシンキの秋の美しさを目に焼き付けたのでした。

きつね

東京出身、フィンランド在住。
ヘルシンキにあるカフェのマーケティング担当者およびフリーランスのライターとして活動するかたわら、ブログでフィンランド生活やおすすめカフェなどについて発信している。
お日さまとコーヒーと深夜ラジオがすき。

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