小さな魔女たちが幸せを運んでくる、フィンランドのイースター
まだまだ寒い日が続き、時折ちらつく雪から拭えきれない冬の名残を感じるものの、圧倒的に日照時間が伸び、春がもうすぐそこまで来ていると感じられるようになってきました。
この時期、街中やお店ではカラフルなチューリップ、黄色い水仙、うさぎやひよこモチーフの飾りなどを目にするようになります。
そう、イースターシーズンの到来です。
イースターとは、イエス・キリストが十字架に架けられてから3日後に復活したことを祝う、キリスト教のお祭り。
フィンランドのイースターはそれに加えて、春の到来をお祝いする意味も込められています。
どんな風にして過ごすのか、そのユニークな風習を少し覗いてみましょう。
イースター一週間前の日曜日になると、子どもたちは魔女の格好をしてご近所さんをまわり、カラフルな羽毛を飾り付けたネコヤナギの小枝を振りながら、幸運を祈る呪文を唱えます。
そのネコヤナギの小枝を渡す代わりに、子どもたちはたまご形のチョコレートやおこづかいをもらうことができます。
この風習は昔、イースター前に悪霊や魔女がいたずらをして通りをさまよっていると考えられていたことに由来するそうですが、現代の小さくて愛くるしい魔女たちは幸せを運んできてくれるのです。
そしてイースターの時期には、さまざまな種類の甘いものが食べられます。
店頭にたくさん並ぶのが、子どもたちだけでなく大人も楽しむことができるチョコレート。
イースターモチーフがあしらわれたものや、中におもちゃが入ったチョコエッグなどたくさんの種類がありますが、中でも人気なのが、ファッツェル社から出ているミグノンという商品。
なんと1896年から売られているロングセラー商品で、本物のたまごの殻の中に、濃厚なチョコレートがたっぷりと詰まっています。
そして伝統的なお菓子が、パスハとマンミ。
パスハはカスタードのようなやさしい甘さが口いっぱいに広がり、わたしも大好物です。
マンミは、ライ麦粉や糖蜜などを練って作るペースト状の食べ物で、真っ黒な見た目がインパクト大。
クリームやお砂糖をかけて食べるのですが、なかなか個性的なお味で、フィンランド人でも好みが別れるようです。
イースター期間は4連休になるので、それぞれが思い思いの過ごし方で春の訪れを祝います。
暗くて長い冬を乗り越え、やっと太陽の光が降り注ぐ美しい季節が始まり、人間も自然も心を躍らせ、街全体がうきうきした雰囲気に包まれる、そんなフィンランドの4月です。
きつね
ヘルシンキにあるカフェのマーケティング担当者およびフリーランスのライターとして活動するかたわら、ブログでフィンランド生活やおすすめカフェなどについて発信している。
お日さまとコーヒーと深夜ラジオがすき。