ラプアン カンクリを代表する
コレクションについて、その背景や
暮らしに役立つアイデアをご紹介します。
〈2019 Spring collection / RUUSUシリーズの原画より〉 graphic by Reeta Ek
ちょっと照れくさいけれど、日頃の感謝の気持ちを伝えることができる母の日。
フィンランドでもバラや季節のお花を贈る習慣があります。さらに家族が特別に用意するすてきなサプライズもあるそう。家族で過ごす心温まる一日です。
テキスタイルデザイナーであり、自身も「お母さん」である島塚絵里さん。
ヘルシンキに住む彼女にフィンランドの母の日について教えていただきました。
母の日
待ち望んでいた春が到来し、光と喜びに満ち溢れた季節に母の日がやって来る。フィンランドでは母の日は5月の第二日曜日、父の日はその半年後、11月の第二日曜日と決まっている。両日とも祝日なので、大体のお店は閉まり、家族で一緒に過ごす日として大切にされているのだ。いつから始まった習慣かは誰も知らないのだが、母の日には日頃の感謝を込めて、朝一番からサプライズが準備される。朝になると、夫と子供が協力して、母の好きなものをあれこれ工夫して用意し、トレイに乗せてベッドに運ぶのだとか。ベッドの上で朝食を食べるなんて、まるで映画のヒロインにでもなったようだ。父の日にも同じサプライズがあるというから、そこもまた男女平等が進んだフィンランドらしくて感心する。
私には2歳の娘がいるが、残念ながらまだこの素敵なサプライズで目を覚ましたことはない。来年の母の日はベッドで朝食が食べたいなあと今から夫に呟いておくことにしよう。
母の日の花
フィンランドの春はみんなが首を長くして待っているのに、なかなか来ないものだ。日本列島が桜色に染まる頃、こちらはまだ雪解けの季節で、草木の生える気配もなく、あたり一面灰色。そんな春のなかなか来ないフィンランドで、一番に最初に咲く花がある。Valkovuokkoという森に咲く、白くて可愛らしい花だ。その頃、森に行くと辺り一面に小さな白い花が咲いていて、まるでお花の絨毯のようだ。ちょうど母の日の頃に咲く花と言われていて、昔から子供たちはvalkovuokkoを摘んで、母の日のプレゼントにしていたのだそうだ。フィンランドの北、ラップランドではvalkovuokkoは咲かないので、鉢植えのバラの花が母の日に贈られるという。保育園や小学校では、母の日が近づくと、カードを手作りする習慣がある。自分で摘んだり、作ったり、ささやかながら愛情たっぷりの手作りプレゼントは毎年の楽しみであり、心をぽかぽか温かくしてくれる。
profile
profile
島塚絵里
Eri Shimatsuka
東京生まれ。ヘルシンキ在住のテキスタイルデザイナー。 東京や沖縄で英語教員を努めた後、2007年にフィンランドに渡り、 2008年よりヘルシンキ芸術大学(現・アアルト大学)にてテキスタイルアートを学ぶ。
2014年に独立し、国内外のブランドにデザインを提供してする他、ホテルのテキスタイルデザイン、CMの衣装デザインなど、幅広く携わっている。2019年4月中旬より全国各地で個展を開催。
-
-
HIMMELI / towel
-
NIITTY / tablecloth, blanket
-
RUUSU / towel
-
TSAVO / scarf
-
KUKAT / towel